恋するplants



 アイアンの門扉を抜け、アプローチを進み、店内へと入った。


 乾いた鐘の音が響く。


 夕方5時を過ぎるとイートインのお客さんは減り、店内にいるお客さんの数はまばらだった。


 ショーケースの前に立つ、アルバイトの女の子とあいさつを交わすと厨房から兄が顔を出した。


 「奥の席にいるよ。何か飲み物いる?」


 「じゃあ、紅茶を」


 オッケーと兄は歯を見せて笑うと再び厨房へと消えて行った。


 壁際に並ぶ、2人掛けのテーブル席の一番奥に彼女はちょこんと座っていた。


 丁度、ケーキを食べ終わったところなのか目の前には空の皿が置いてあり、ハーブティーで一息ついてたところだった。


 「お久しぶりです」


 僕は背中に背負っていたカバンを椅子の背もたれに掛けると彼女の向かいの席に座った。


 彼女ははっと驚いたようなした後、すぐ笑顔になった。


 「ご無沙汰してます。今日はケーキを買いに来たんです。本当はすぐにお礼に来たかったんですけど、醜態さらしちゃったこと恥ずかしくて・・・今になっちゃいました」


 彼女は照れながら両手で包んだカップをソーサーの上に置いた。


 丁度、アルバイトの女の子が僕の分の紅茶を持ってきてくれた。


 お礼を言って受け取る。