中を覗くと彩りのキャンディが大きなビンに入ってずらりと並んでいる。


 どうやら量り売りの店みたいだ。


 宝石箱のようなおもちゃ箱のような色彩に胸が躍った。


 それよりも僕らを驚かせたのはドアの隣の大きな窓だった。


 中では黄色と赤のコック服を着た女の人が窓に張り付いて中の様子を見ている子供たちに向かって笑顔を振りまいていた。


 コック帽を被り、襟元にキャンディマークのピンをつけて、彼女はまな板の上で細長いものを転がしていた。


 「飴作りを実演しているんだ」


 面白いと兄は食い入るように飴工房の中を覗いていた。


 細長い棒になったキャンディを彼女が切り刻むと中にはクマが描かれていた。


 金太郎飴が完成した。


 最前列で、見ていた子供たちはおお~と感嘆の声を上げている。


 魔法みたいだ。


 まさにキャンディマジック。


 甘い香りと鮮やかな色彩とおもちゃのような形、こんな素敵なキャンディ屋で働く女の子の話を書いてみようか。


 彼女は魔女で、チカチカするくらい色んな色に囲まれているのに自分は全身黒い洋服を着ている。


 髪も瞳も真っ黒。


 彼女が魔女と呼ばれる所以は彼女の作るキャンディにある。