ふと、舗道に視線を向けると知ってる顔を発見した。


 「百合さん?」


 百合さんが舗道を男の人と腕を組ながら歩いている。


 百合さんって蓮のこと狙ってたんじゃないの?何で?混乱してくる。


 蓮はちらりと横目で舗道を見ると、


 「百合とは付き合えないって断ったんだ。みんなで遊園地に行った日」


 「そうだったの?」


 「あいつ、わざと俺んちに自分の写真忍ばせた小説とかピアスとか置いてってたみたい。ぼたんにヤキモチ妬いて、やったらしい。俺のことは・・・あの様子じゃ諦めてくれたみたいだな。彼女のこと好きな男はいくらでもいるさ」


 小説・・・あの時、私が見た写真は百合さんが意図的に置いてったんだ。


 「百合は大学の頃の友達と俺んちで飲んだ時、隠れてそんなことしてたみたい。泊めたり、一緒に寝たりするのはぼたんだけだから」


 「うん、信じてる」


 車が海岸通りに差し掛かり、真っ暗な道をまっすぐ行ったら蓮の家だ。