恋するplants



 秋川は自分のコーヒーをゆっくりと口に含んだ。


 「でも、私、やっぱり心のどこかで池見先生にとって特別な存在でありたかったみたいなの。百合さんと会って、それに気付いたんだ。私ってずるいよね、秋川利用して池見先生にやきもち妬いてもらおうなんて思って。でも、蓮にとっては私も女友達の1人だったみたい。それがショックだったの」


 秋川の前で泣いちゃうなんてかっこ悪い。


 でも、次から次へと流れてきて止まらなかった。


 心の中に留めておいた気持ちを吐き出すと少し楽になった気がした。


 「そこまで自覚してるなら、今回のことは許してあげるよ。僕はさ、茉雪のこと高1の時から知ってるんだから、普段は何ともないような顔してても、僕には全部解っちゃうんだから」


 「ごめん、もう、意地を張ったり、嘘ついたりしないから。これからも友達でいてくれる?」


 秋川はフッと笑うと私の頭をぐちゃぐちゃに撫でた。


 「何か、女の子らしい茉雪って初めて見たかも」


 「やめてよ」


 秋川の手を払って髪を整えると、お互いに目が合って、笑いあった。


 よかった。


 秋川と気まずいままだったら残りの大学生活、きっと孤独だったよ。


 秋川が作ったホットケーキの残りを食べていると、


 「そういえば、大丈夫だったみたいだね。池見先生のお兄さん」


 「え?何が?」