「そうしようかな」


 「じゃ、鍵はいつものところに置いておいてくれればいいから」


 蓮はスペアキーを食卓の上に置くと、出かけて行った。


 蓮のいなくなったがらんとした部屋は少し寂しい。


 私の唯一の仕事である食器洗いを済ませると蓮が淹れたコーヒーを持って蓮の部屋へと向かう。


 以外と読書家の蓮の本棚から、本を物色する。


 午前中はゆっくりと読書をすることにしたのだ。


 本棚から蓮が読むとは以外な王道ラブストーリーの小説を手に取る。


 こんなのも読むんだ。


 からかい半分で手を伸ばした。


 窓際にあるロッキングチェアーに座り、コーヒー片手にパラパラと本を捲った。


 パラリとページから何かが床に落ちた。


 コーヒーをベッドのサイドに置いて、落ちたものを拾う。


 写真だった。


 そこには蓮と知らない女の人が映っていた。




  ★




 「・・・ぼたん先輩」


 「ぼたん先輩ってば!もぅ、聞いてるの?」


 はっと我に返ると、目の前にわらびの膨れッ面があった。


 講義の後、駅前でわらびたちを合流して近くのコーヒーショップに入ったんだ。