ぼぅとしながら空を眺めた。
どんよりと空を覆った雲は今にも泣き出しそうだ。
冬月先生とのキスを思い出した。
あの日から、私たちは放課後、誰もいない教室でキスを重ねた。
冬月先生のキスはたばこの味がする。
苦くて甘い、大人の恋をしているような気分がした。
私と冬月先生しか知らない秘密。
「茉雪」
突然、声をかけられ、びくんと体が反応した。
秋川楓。
秋川は隣いいかな?と訊ね、了解していないにもかかわらず、ちょこんと
腰をかけた。
何なの、この人。
この間から、1人の時を狙って話かけてくるし。
「何か用?」
少しイライラしながら、横目で秋川を見た。
お弁当箱を片付けながらいつでもここを離れるよう準備する。
「冬月先生と放課後、いちゃついてるだろ?」
え?嘘?どくんと心臓が大きな音を出し、秋川を見つめた。
お弁当箱が足元に転がる。
「何で?」

