「・・・何ですか?」


 「茉雪ってさ、コンタクトにしないの?」


 突然、何を?きょとんとし、口を開けると先生の顔が近づいた。


 「小学生の時からメガネだし、メガネしてないと何か違和感があるというか・・・」


 先生の手が伸びてきて、私のメガネを外した。


 「メガネ取った方がいいじゃん。せっかくキレイな顔してるのに。髪もほどいたら?大人っぽく見えるよ」


 先生はそう言うとふっと笑った。


 「・・・ふざけてるんですか?メガネ、返して下さい」


 先生の手からメガネを取り戻そうとすると、そのまま手を握られた。


 メガネが先生の手から床に落ちる。


 「茉雪さ、俺のこと、いつも見てるよな。俺のこと気になるの?」


 「そんなじゃないです・・・」


 知られてた!しかも本人に。


 恥ずかしくなり、目を伏せた。


 「俺が気付いてないとでも思った?」


 先生が耳元で囁いた。


 ・・・やめて下さい。


 絞り出た微かな声で返したけれど、先生は悪戯っぽく微笑んだままやめないと答えた。


 いつも爽やかな先生とは違った一面に戸惑う。