檜がいなくなってこと重大さ気付いた。


 どうしよう。


 どうしよう。


 頭に浮かんでくる言葉はそれだけだ。


 扉が開いたままの玄関に座り込んだまま、声を上げて泣いた。


 桂さんが背中を擦ってくれたけど、涙は止まらなかった。


 思い切り泣いて、涙も枯れた後に立ち上がり、ふらふらしながらサンダルを履いた。


 この雨だし送るよと桂さんが言ってくれるのも断った。


 「ごめんね、俺のせいで」


 桂さんが悲しそうな顔で笑う。


 違います。


 悪いのは私なんです。


 首を横に振ると、玄関の扉を閉めた。