下でがたがたと物音がした。


 どうやらよもぎさんが帰ってきたらしい。


 慌てて柏の方を振り返ると、柏はよもぎさんが帰って来たことに気付いてないのかよもぎさんの机を凝視している。


 「柏?」


 柏に近寄り柏の肩に手をかけると、うわぁ!と柏は声をあげた。


 柏はよもぎさんの机に上にあった教科書を慌てて整えて、こっちを向いた。


 「どうしたの?よもぎさん帰ってきたみたいだよ」


 「マジで?」


 柏は私の背中を押すと、よも兄の部屋に入ったって絶対言うなよ!と念を押した。


 柏の部屋に戻ると、タッチの差でどかどかと階段を上る音が聞こえた。


 誰かと話してる声がする。


 どうやらよもぎさんは友達と一緒らしい。


 「・・・檜(ひのき)が来てるんだ」


 柏はそういうと部屋を出て行った。