と桂さんはペダルを漕ぎ出した。


 広い公園の中をぐんぐんと進み、河川敷きに出た。


 川に沿って遊歩道をどんどん進む。


 流れる景色を見ながらペダルを漕いだ。


 前の桂さんのこめかみから首筋にかけて汗が流れている。


 私の分も力一杯ペダルを漕いでくれているに違いない。


 「公園から随分離れちゃったみたい。どこに向かってるんですか?」


 「きのこちゃんに見せたいものがあるんだ。もうちょっとで着くから」


 息を切らしながら桂さんは答えた。


 私は、太陽の日差しを浴びてキラキラ輝く水面を見つめた。


 同じくらいの年代の子たちかな?


 河川敷に寝転んで体を焼いている。


 お年寄りが犬の散歩をしている。


 舌を出して、炎天下の中を歩く犬は辛そうだ。

 
 生暖かい風を顔に受け、自転車を走らせる。


 背中は汗でぐっしょりだったけど、気持ち良かった。


 「うわ~~~」


 何となく叫びたくなって声を上げてしまった。


 桂さんが驚いて、自転車が一瞬、ぐらりと揺れた。