「マルちゃん、もし・・・だよ?」
レモネードを啜り、無表情なマルちゃんの顔を伺う。
「彼氏がいるのに、違う人と成り行きでキスしちゃったらどうする?」
「そんなこと絶対に無いわ」
「キス」に反応したのかマルちゃんは頬を赤らめて答えた。
「もしもの話だってば」
マルちゃんはそうと短く答えると、少し空を見つめた。
何か考えているらしい。
「・・・無いわね、モリッピー、高木以外の人とキスしちゃったの?」
「だからもしもの話だってば!ゴメン、今の話は忘れて!」
キスした相手も高木ですけど・・・マルちゃんが訝しげに私の顔を見つめるので、残りのレモネードを飲み干し、席を立った。
「モリ・・・」
「じゃあ、帰るね。お疲れ様、レモネードご馳走様でした」
そそくさと扉を開け、外に出る。
マルちゃんはさっきと同じ体制で顔だけこちらを見つめている。
マルちゃん、勘が鋭すぎる。
レモネードで冷えた体なのに、また汗が出てきた。
大きなため息をつくと夏の空の下へと踏み出した。

