恋するplants



 私たちは同時に頷き、桂さんが俺もお茶でと付け足した。


 檜は何も知るよしもなく、大好きな兄が久しぶりに帰国した嬉しさもあり、鼻歌交じりにリビングへと向かって行った。



 檜が奥のリビングへと消えて行ったのを確認すると、


 「君だったんだ・・・」


 桂さんが小さな声で呟いた。


 「あ、あの、あの日のことは2人の間の秘密にしてくれませんか?わ、私、あの時は檜に約束すっぽかされてどうかしてたんです」


 「どうかしてたか・・・それは俺も同じだよ」


 桂さんは口元に笑みを浮かべると、背負っていたバックパックを床に置いた。


 「大丈夫、君と檜の仲を邪魔したりはしないよ」


 そう続けて先にリビング行っててと言い檜の部屋とは反対側にある部屋の扉を開け、入って行った。


 大丈夫、檜との仲が壊れることはない。


 自分に言い聞かせて、檜のいるリビングへと向かった。


 

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 丸太作りのロッジ風のお店が目印の「アイスクリームショップ スミレ」で私はアルバイトをしている。


 1年生の時から繁忙期である夏休みのみに働いている。


 お店の経営者は幼馴染みである丸太すみれ、通称マルちゃんの両親だ。


 昔が知っている仲なのもあり、夏休み限定でお店の手伝いをしている。