「うおっ」
檜が短く驚く声が聞こえ、チェーンが外される音がした。
「久しぶりだな~、何で連絡してくれなかったんだよ~」
檜の声が興奮が混じったものになり、はしゃいでいるのが解った。
「誰か来てるのか?」
檜の声よりも低くくぐもった声が聞こえた。
実は彼女が・・・檜は照れたように答えた。
「きのこ」
檜が勢いよく部屋の扉を開けた。
私は慌てて立ち上がり、振り向いた。
あ、思わず口があんぐりと開いてしまった。
「紹介するよ。こちら森野きのこ。同じ高校に通ってるんだ」
檜がにっこりと笑い、後ろに立つ人を紹介する。
彼も私と同じように驚いた表情を浮かべている。
「高木桂(ケイ)、俺の兄貴だ」
★
檜には4つ違いのお兄ちゃんがいる。
檜の部屋の本棚に飾ってある子供の頃の写真には、そっくりなお兄ちゃんも一緒に写っている。

