今度はケイさんの唇が優しく触れる。
たぶんこれが最後のキスだ。
朝になれば別れてもう会うこともないだろう。
ケイさんの暖かい腕の中で私は眠りについた。
小さな窓を開けると日差しが照りつけた。
昨日の雨は上がり、澄み切った青空が拡がっている。
乾いた服を着、ベッドでまだ寝息を立てているケイさんを振り返った。
「さようなら」
小さな声で呟く、ケイさんとのことは私の中に仕舞っておこう。
檜には絶対、ばれてはいけない秘密。
唇を結んで、部屋を出た。
「桂」
★
「何か飲む?」
ベッドから起き上がると檜は床に脱ぎ捨てたTシャツを拾った。
「うん」
檜の背中を見ながら、起き上がった。

