というか何故、こんな話をこいつにしてるんだ私。


 「春風さんってやっぱりかわいいよ」


 小山紫苑はにこりと微笑むと私の頭を撫でた。


 彼が腕をあげたときにいい匂いがした。


 何の香水だろ?


 「泣いているとこも笑ってるとこも色んな春風さんが見たいって思った。君のこと、もっと知りたいって」


 小山紫苑がまっすぐに私を見つめる。


 慰めてくれてるのか失恋の隙に付け込もうとしてるのかよくわからない奴だ。


 「あ、でも、俺のせいでファンの子から嫌がらせ受けてるって・・・春風さんと仲良くなりたいのにどうしたらいいんだ」


 小山紫苑は考えこむように首を捻った。


 天然?それともバカ?


 「今日みたいに人気のないところでこっそり会うとか?」


 「無理」


 思わずくすりと笑ってしまった。