「春風さん、何かと目立つし・・・みんなをまとめてくれそうだし」


 彼女はそう続けた。


 ちょっと待ってよ。


 私そんな・・・


 「と、いう意見が出たが、賛成の人は拍手」


 担任の声にみんなが拍手をした。


 何で私なのよ。


 その子をじっと見つめると、目が合った。


 くすりとその子は微かに笑った。


 何、今の?


 「みんな賛成という訳で、春風頼めるか?」


 「・・・はい」


 力なく答えるともう1度、拍手が響いた。


 さっきのあの子の視線・・・私を見る冷ややかな視線。


 前にも見たことがある。


 そう、1年の時、クラスの女子に無視されてた頃、彼女たちはあんな目で私を見てた。


 またなの?無視されないだけいいの?沸き起こる拍手の中、私は彼女の冷ややかな視線を背中に感じながら前を向いた。


 冷や汗が流れてる。


 嫌な感じだ。


 横目でマルタを見ると彼女だけは机の上で固く手を握り、担任をじっと見つめていた。