「よも兄」


 少年は嬉しそうに彼の名前を呼んだ。


 ・・・よもにい?


 口をぽかんと開けていると、よもぎさんが私たちの座るテーブル席についた。


 「ちえり、俺の兄貴、よもぎっていうの。・・・つうか、俺も自分の名前言ってなかった。俺は柏。草香柏(くさか かしわ)」


 えぇ?


 えぇ~!!


 マジですか?弟?・・・そういえば、目とか唇の形とかちょっと似てるかも?


 全然よもぎさんの方がカッコイイけど・・・


 驚きで、目を丸くしている私に、


 「2人はどういう関係なの?」


 とよもぎさんがのんびりした口調で聞いてきた。


 柏が、さっき、後ろから思いっきりカバン投げ・・・と説明するのを遮って、


 「友達・・・友達なんです!!」


 目をキラキラさせて答えた。