「そうですね、割りと」


 「じゃあ、今日は白根の家に泊まることにする。可哀想な俺を慰めてくれ」


 「え!?・・・別にいいですけど・・・」


 熊のような大男を先輩だよと紹介したらまた祖母が腰を抜かすんじゃないかと不安もありつつ、新たな友情関係に嬉しくもなる。


 「お豆くんも来る?」


 「ええ?・・・いいんですか?」


 「もちろん」


 お豆くんは嬉しそうにぱっと顔を輝かせた。


 舗道を並んで歩きながら、松ちゃん先輩がお豆くんの肩を組んだ。


 「豆田、お前も丸太さんに告ちゃえよ~そして振られろよ~同士になろうぜ~」


 「何で振られること前提なんですか!僕をからかって遊ばないで下さい!!もぅ~白根くん、何か言ってください」


 「お豆くんに今、告られると俺も困る」


 「ど・・・どういう意味ですか?」


 お豆くんが松ちゃん先輩の腕を振り解き、俺に近寄った。


 「ライバルって意味、俺とお豆くんが」


 そういってお豆くんに挑戦的な笑みを送った。


 お豆くんは急に青白くなった。


 「ギョギョ~」


 お豆くんの高い声が春の空に響いた。





     (恋するカリグラフィ・おしまい)



 *この作品は「とめはねっ!」(河合克敏・小学館)/「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」(映画)を参考に、パフォーマンスの部分は実際行われている書道甲子園の映像からヒントを頂きました。

 また、私自身も小学校6年間、書道教室に通っていた遠い日の記憶を思い出しながら書かせていただきました。

 何かお気づきの点がありましたら、メッセージをいただけると幸いです。

     2013.5.27(MON) 北沢あたる