先生が丸太さんのかいた書をホワイトボードに貼り付けた。
お豆くんと先輩たちがぐるりと回りを囲む。
「焼肉」
思わずずっこけてしまいそうになる、何故、焼肉?と訊ねると相変わらず無表情で食べたいなと思ってと答えが返ってきた。
「書というのは余白の部分も作品になるからね・・・ちょっと文字のバランスが悪かったかな?」
柊部長が指摘する。
丸太さんのかいた「焼肉」は「焼」に比べると「肉」の文字が大きい。
字のバランスが合っていない。
「柊さんの言う通りだね。でも、丸太さんは力強いいい線をかくね。文字にもしっかりとした芯があるようで、見ていて気持ちのいい字だ」
先生がそう丸太さんに微笑みかけると、丸太さんは照れたのか下を向いた。
「次に白根くんの書だね」
先生が俺のかいた書を丸太さんの横に貼った。
おお~と先輩たちから感嘆の声が上がる。
「永字八法か、豆田よりうまい・・・」
松っちゃん先輩が呟く横で、うう~とお豆くんが悲しそうな声を上げる。
「期待以上ね。字のバランスもいいし、キレイな楷書だわ・・・でも」
でも?思わず柊部長を見る。

