「あの日からもう、10年か」

呟いて仏壇にあるお鈴(りん)を鳴らした。

このお鈴の音が好きだ。独特なこの音を聞くと、心が不思議と落ち着き安らかな気持ちになる。

仏壇に飾られた笑顔でピースする幼なじみに手を合わせ、目を閉じる。

悪いけど、オレは謝るつもりないからな

オレはなにも悪くない。悪いのは全部おまえだ。怨まれてもいい。てか怨むな。全部おまえの責任だ。

自業自得なんだよ。不注意だ。

そう強く念じた時だった。

ふと、背中に悪寒が走った。


不注意、だと?


仏間の空気がピンと張り詰めた。

嫌な汗が止まらない。しかも動けない。重苦しい空気に耐え兼ねて思わず固唾を飲んだ。