一人で椅子に座って考えていると、テーブルの上に置いてあった携帯がバイブで震えた。



何だ?



見ると、親父からのメールだった。



『まりあちゃん落とすならこの旅行の間だからな』




……くっそ、バレてやがる。



誰にもまりあが好きだってバレてない自信があったのに。


やっぱ親父だけには隠し事できねぇな。



昔からそうだった。



あまり感情を表にださない俺。


だからよく何考えてるのか分からないと言われてきた。



でも、親父にだけは違った。

親父はいつも俺の気持ちを見抜いてくる。


本当の俺を分かってくれる。


だからかもしれない。

…俺が親父となら力を抜いて話せるのは。




敵わねぇな…。




俺はそんなことを思いながら返信のボタンを押して『分かってる』とだけ返した。