「お父様抱いてあげてください。」


と言われて受け取った赤ん坊は手に収まるほど小さくてふにゃふにゃで、

そしてにやっと笑った気がした。


か、可愛いい!!

な、なんだこの生き物。


可愛いじゃないか~


そう思いながら胸がぎゅうっとなり、

不覚にも涙が出た。


俺の子。


俺の子なんだ、


しかも女の子。


なぜか脳裏にはウェディング姿の音々が浮かび

「嫁にはやらん!」


といきなり口走っていた。


診察室を片付けていた数人の看護師がそれを聞き、


ぶぶっ


と吹いていた。


そりゃそうだな

いきなりバカ親父丸出し。


赤くなりながら再び、

娘を看護師さんに渡した。


娘よ、しばしの別れだ。

名残惜しそうな俺に、看護師が言う


「大丈夫です。当分は嫁には行きませんよ。」


そりゃあそうだ。