SIDE八起

音々は診察台で生んでしまった。

立ち会い出産に備えて、

ラマーズ法とか、いろいろ物の本や講習会で学習したのに、

全く意味をなさなかった。


「お父様に似た女の子ですよ。」


と言われて、診察室に呼ばれたのは、

音々が診察室い入って30分後の出来事だった。


診察室に入って絶句した。

ものすごい格好で診察台に乗って、

ワーワー泣いている音々は

壮絶だった。


赤ん坊の声より音々の声の方が大きかった。

看護師さんは相当呆れてたな。

そして、初めて会った赤ん坊は、


サルだった。


真っ赤なサルだった。


やっぱ人間、元は、類人猿だったんだと、

真っ先にそれが脳裏に浮かんだ俺は

どこか冷静だったんだろう。

確かに、

生命の神秘を感じるにはあまりに修羅場過ぎだろう。