そのまま、暫く無言で寄り添う。
「…………。」
「…………。」
どっ、どうすれば良いんだろ。
心臓が ばくばくと音を立てている。
私が静寂に耐えられなくなった その時。
椎名君が、口を開いた。
「……昼間は、悪かった。」
いきなり謝られて、うん、と頷く事しか出来ない。
「……好きだと言ってくれて、嬉しかった。」
彼は、1つ1つ言葉を吟味しながら、選んでいるようだった。
椎名君は、私の瞳を、真っ直ぐに見つめる。
「……俺は、お前が思っているような奴じゃない。俺と付き合っても、周りのような人間関係は望めない。……俺の事を、詮索するのは、止めて欲しいんだ。」
何それ。
恋人なのに、お互いに深く関わらないなんて、おかしいよ。
私の胸に浮かんだ言葉は……非難じゃなくて、慈しみ。
「……俺は、絶対、お前を幸せに出来ない。それでも……良いか?」
そんなの、変だよ。
絶対、幸せに出来ない、なんて。
でも私は、笑顔で頷いた。


