「……お前さぁ、ほんとに何が在ったんだよ?」

曽根倉の言葉に、俺は漸く顔を上げ、その瞳を見つめた。

話したくない。

そんな想いを込めて。

「……あっそぅ。」

やはり、親友は、俺の気持ちを理解してくれた。

「話したくないなら無理にとは言わねェけどさ、これだけは言わせてくれよ。」

黒い瞳が、俺の紅い瞳を射抜く。

「お前は、未来を恐れてんだろ?だったら……現在(いま)の内に、やりたい事やっとかないと、欲しい物 手に入れとかないと、未来で、我慢 出来なくなるぞ。」

その言葉に。

俺の胸で、何かが ことりと音を立てた。