――お前は幸せには なれない、絶対に。

記憶の中の あの人は、いつも俺に そう囁く。

解っている。

俺は幸せにはなれない。
なっては いけない。

いつ壊されるか解らない、平凡な日々。

それが崩壊した時。

傷付くのは、俺だけで良い。

隣に誰かが居る必要は――無い。

俺は溜め息を つくと、柵の上に乗せた腕に顔を埋めて、瞳を閉じた。