「わっ、わりぃ!」

そう謝ったのは、どう見ても染めたであろう、明るい茶髪の男子だった。

少し大きめな、真っ黒な瞳が、不安げに私を見つめた。

「ぶつかっちまった!怪我とか してないか?」

「……あ、はい、大丈夫です。」

何だか少し、可愛いな。

私は そう思って、くすりと笑った。

「……お前……可愛いな……。」

茶髪の少年は、驚いたように呟いた。

「……有り難う、ございます。」

可愛いと言われて、私は複雑な心境で お礼を言った。