「……あ……。」

人前で泣いてしまった私は恥ずかしさで、顔が火照って来るのを感じた。

きっと今、私の顔は真っ赤になっているのだろう。

「ご、御免なさい……っ。」

慌てて ごしごしと目元を擦った私の手を握ったのは、舞さんだった。

「助けんの遅くて、御免ね。」

その言葉に はっとする。

私は ばっと立ち上がった。

「た、助けてくれて有り難うございます!お礼も言わず、すみません!!」

「良いよ、お礼なんて。」

舞さんの言葉に、葵さんも笑顔で頷く。

「曽根倉君も。」

私は曽根倉君の方を向く。

「有り難う。」

すると曽根倉君は、にっこりと笑った。

「友達を助けるのは、当たり前だろ?」

その言葉に驚いて、私は僅かに目を見張った。

友達。

私が、ずっと ずっと、欲しかったもの。

「な?」

そう言って笑う曽根倉君を見ていたら、また泣けて来てしまった。

あぁ、曽根倉君は、入学式の日から ずっと、私の事、友達だと思っててくれたんだ……。

「あ、狡い!うち等も仲間に入れてよ!海崎って、呼び捨てして良い?」

葵さんが そう言って、手を差し出して来た。

――初めて、友達が出来た。

女の子と喋ったのなんか久し振りで、私は嬉しくて笑顔に なりながら、その手を握った。

その時。

「一件落着で良かったな。」

曽根倉君は、私達じゃない誰かに、そう言った。

その視線を追い、教室の前のドアを見ると。

無表情の、椎名君が居た。