「自分が弱くて、逃げているだけだって事も、解ってる。」
翔織は私の手を そっと、押し戻す。
「だからこそ、俺は海崎に相応しくない。」
「相応しくなくて良いよ。私は、今の翔織が好きなの。」
「…………。」
翔織は黙り込み、暫くして、口を開いた。
「……こんな俺で、良いのか?俺は――。」
「解ってる。」
今度は私が、そう伝える。
「貴方が抱えている闇。私が愛したのは、それだから。」
そう言って、笑う。
翔織の瞳が揺れて。
気が付くと私は、翔織の腕の中に居た。
「……有り難う……やっぱり俺が間違っていた……この町に来て、良かった……。」
彼は私を抱き締めたまま、囁いた。
「海崎、俺と もう1度、
付き合って下さい。」
私は、頷いた。


