「終わらせて……?」

「ああ。……警察と、カウンセラーに手を貸して貰って、刑務所で祐貴さんと話し合いを続けたんだ。」

「どう、なったの?」

「……祐貴さんは、釈放後も、警察の監視を受ける。定期的なカウンセリングも受ける。前の事件で、精神が不安定な事が発覚したから。
……俺は、あの町から出る。

お互いに干渉しない事が決まったんだ。」

「そっか……。」

私は何と言えば良いのか解らず、一言 呟いただけだった。

そんな私を見て、翔織は柔らかく笑う。

「そんな顔するなよ。これで良かったんだ。」

「……うん、そうだよね。」

私も吊られて笑って。

翔織に、キスを した。

「っ!!」

翔織は驚いて、慌てて私を引き剥がす。

「ばっ、止めろ、皆の前で……恥ずかしい……。」

「何よ、慶と舞も、葵と渡辺君も、結婚してるんだもん、良いじゃない。」

「うち等は まだ結婚してないけどな〜。」

私が膨れると、葵が小さく ぼやいた。

翔織は ぽかんと口を開けて。

10年前は決して見なかった、楽しそうな笑みを浮かべた。

「へぇ……じゃあ海崎は焦ってるのか。」

「そうだよ!迎えに来るのが遅い!」

私が拗ねたように言うと、翔織の顔から笑顔が消えた。