「じゃ、カラオケ行こっかー!」

葵が そう言って、皆は歩き出して。

私も、付いて行こうとした その時。

誰かと、ぶつかってしまった。

「きゃっ。」

「海崎!?」

舞の焦った声を聞きながら、私は体勢を立て直せず、転びそうに なった。

それを、ぶつかってしまった人は、抱き留めてくれた。

「……大丈夫ですか?すみません、よそ見を していて――。」

発せられた、少し掠れた、耳障りの良い声が、ぴたりと止まる。

「すっ、すみませんっ!!」

慌てて謝って、相手の顔を見上げて。

私は はっと息を飲んだ。