「がっ……あああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
痛みよりも恐怖が先に来て、俺は絶叫した。
祐貴さんは、俺の鳩尾に刺した包丁を、ずぶずぶと引き抜く。
「……っ……っ……。」
もう、悲鳴を上げる事さえ出来なかった。
躰が勝手に、びくん びくんと痙攣する。
祐貴さんは包丁を投げ捨て、佑美さんを連れて、外へ出て行った。
必死に痙攣する腕を動かして、血が溢れ出る傷に手を充てる。
肉が、骨が……剥き出しに なっている。
躰から、血と共に、生命力が流れ出すのを感じた。
何故か頭に浮かんだのは、優しい記憶。
優しい両親。
明るく笑う曽根倉。
何だよ、これ。
これじゃ まるで……走馬灯みたいだ。
何故か笑えて来て。
「……がはっ……!!」
口から、赤い液体が吹き出した。
――ああ。
俺、死ぬんだな。
改めて そう実感し。
俺は意識を手放した――。


