それから俺は、人形のように虚ろな顔で、毎日を過ごした。

大人の汚さ、
世界の汚さ。

それ等を感じ、この世界で息を する事さえ、苦痛に感じた。

たった1人の友達だった蓮は、そんな俺の傍に、只 黙って居てくれた。

しかし俺は、それさえも苦痛に感じ、他者との触れ合いを極度に避けた。

人間は、汚い。

そうやって汚いまま、足掻いて、他者を蹴落として、生きている。

自分も同じ人間なのかと思うと、自身の醜さを思い知らされているかのようで。

俺は、自殺未遂を繰り返した。

リスカを したり、首を吊ろうと してみたり。

忌み子の象徴である紅い瞳を、傷付けたり。

それでも死ぬ事が出来なかったのは。

俺が、臆病だったから。

“死”は、堪らなく恐ろしかった。





――だから、あの日の事を、俺は鮮明に思い出せる。

死を間近に感じた、あの日を――。