「久し振りだな!!こっち戻って来てたのか?」

そう言いながら歩み寄った曽根倉君の手を、椎名と呼ばれた少年は、振り払った。

「……俺に関わるな。」

少し掠れた、低い声。

椎名君は、鋭い眼差しで、ぎっと曽根倉君を睨んだ。

「……え?」

曽根倉君が やっとの思いで訊き返した時。

椎名君は、つかつかと自分の席へ向かい、腰を下ろした。

「えっ、ちょっと椎名!!俺だよ、曽根倉!!忘れちまったのか!?」

教室には、曽根倉君の動揺した声が響くのみだった。