私は家の近くの公園で、泣いていた。
家で泣く事は許されない。
ずっと いじめられ続けて、
ずっと家で泣いて。
お母さんには、とっても迷惑を掛けた。
今は、いじめられてる訳じゃないんだから、心配させる訳には いかない。
膝を抱えて泣いていると、思い出すのは、翔織の笑顔。
あんなに綺麗なのに。
その笑顔は、たった1回しか、私に向けられなかった。
「……っ……。」
嗚咽を堪えた その時。
「海崎。」
曽根倉君が、優しい声と共に、私を後ろから抱き締めていた。
「……そね、くら、君……?」
「海崎……椎名と、別れたいか?」
その言葉に、私は ふるふると首を横に振る。
すると彼は、後ろから私の耳元に、囁いた。
「なら……少し、あいつから離れろ。」
再び焼くような痛みが胸を貫いて、私は膝を抱く腕に力を込めた。
「あいつは……あいつが変わっちまったのは、きっと、あの叔父が原因だ。それから逃げて来て、海崎と付き合って……叔父と、再び向き合わなきゃ ならない境遇に立った あいつは今、迷ってる。」
「……何、を?」
私の問いに、曽根倉君は僅かに躊躇った後、答えた。