翔織の家のチャイムを押すけど、返事が無い。

私が どうしようか戸惑っていると、曽根倉君が私の携帯を指差す。

「…………。」

「…………。」

「……電話、してみれば?」

「だって……するの初めてで……緊張する……。」

「いつもメールしてるくせに。」

曽根倉君が苦笑して、私は勇気を振り絞って電話を掛ける。

プルルルッ、プルルルッ。

出ない。

プルルルッ、プルルルッ。

出ない。

寝てるのかなって思って切ろうと する。

プルルルッ、ガチャッ。

その音だけで、飛び上がってしまった。

「……海崎?」

電話越しに聞こえた声は怠そうで、直ぐに ごほごほと咳き込む。

「あ、あの、翔織……お見舞いに来たんだけど……。」

「ああ……ごほっ……セールスかと思った。」

ガチャッ。

電話は切れてしまい、家の中から ごそごそと音が聞こえる。

そして、ガチャッと鍵が外れる音が して。

翔織が、姿を現した。