「ここか…。」 まだ肌寒い4月の朝、 私はキャリーバックと沢山の住所と電話番号を書き出した手帳を片手に、 目の前に佇む"Angelic"という看板を掲げた一軒のカフェを見つめた。 2週間ずっと探し続けている住み込みのバイト。 そして、ここが最後の一軒。 ここで働くことができないのなら私にはもう他に行く宛が無いのだ。 「よし…。」 きゅっと小さく拳を握りしめて気を引き締めると店のドアを開けた。