でも、今更遅い。
アレだけ傷つければ、誰だって…



カチャ




カップが皿に置かれる音が耳に入る。

僕が振り返ると机に向かって僕が作った朝ご飯を食べる影が1つ。


「東城先輩…」


「…」

只黙々と食べる東城先輩。


少し僕は泣きそうになった。



「コーヒーのおかわりは如何ですか?」
「うん」


黙って私にカップを突き出す先輩。
僕も黙ってそれを受け取る。


温かいコーヒーは良い香り漂わせた。



東城先輩は食べ終わると「おいしかった」と僕だけに聞こえるように言いムーンを出て行った。