放課後、冴子と待ち合わせをして龍太の学校の制服を借りた。


ばれないようにウィッグをつけ、伊達メガネまでかけて。

冴子と一緒に高校に戻った。

金曜日は龍太と彼女は図書委員の当番で遅くまでいるらしい。

…龍太が図書委員?

似合わない…そんなことを思いながら、しばらく校門の周りを行ったり来たりして2人で時間を潰した。

だんだんと空に夕闇が広がり始めた頃―――

「出てきたよ」

冴子の声で校舎の方に目を向けた。

先に龍太の友達が出てきた。

何度か見たことはある。話したことは一度もないが…

その後ろから――…

「来た!あの子よ」

――…龍太と手を繋いで、龍太の横をチョコチョコと歩く、なんだか幼い感じの“少女”という言葉が似合う子。

少し俯き加減で歩き、時々龍太をそっと見上げている。


そして、龍太は


その様子を


そう―――…


とても愛おしそうに見つめている。




…誰なの…その子は。あなたにそんな表情をさせるなんて…

今まで見たこともない龍太に私は…不安を覚えずにはいられなかった。