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「あー…かったるーい」

ふぁ~と大きな欠伸をしながら腕を伸ばす有紗。

「有紗ったら…もう少し真面目にできないの?」

「だってねー、アンタ。卒業式の練習のためだけに学校来るなんて、ダルいだけでしょ」



私達は明日高校を卒業する。

有紗と私は学部は違うけれど、付属の大学へ進学する。

沖本君は近くの別の大学へと進むことが決まっている。


高校という狭い世界で生きてきた私達もそれぞれの道を進む。



――――…龍太は最初の言葉通り。

私には一切連絡をしてこない。


連絡を取り合っているらしい沖本君や、時々家に遊びに行っているえり子さんが

それとなく近況を教えてくれる。

元気に頑張っていると知ると

ホッと安心する。



会えない。

声さえも聞けない。

だから

心にいつも語りかける。



龍太。

明日――――私達、卒業するんだよ。


できれば一緒に…卒業したかったな。




何度も語りかける―――――――。

あなたに届くように…。



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