「琴葉ちゃん、その問題はもう少し時間がかかりそうなんだ」

作本さんがコーヒーに口をつけながら、申し訳なさそうに話す。

そんなに簡単な問題じゃないことは頭ではわかっていた。

「そう…ですよね」

それでも、期待が裏切られたようにガックリとしてしまう。

「…だけどね、龍太の高校のこともあるし…そろそろ準備に入らないと…ね」

「高校の編入…ですか?決まったの?」

龍太に視線を向ける。


その表情は、さっきまでと違う、どこか曖昧な微笑を見せる。


「龍…太?」

―――…なに?なんなの、言い知れないこの不安感。


「―――やっと…会えた。琴葉…約束通り、お互い見つけることができた」

「……」

心臓がギシリと音を立てる。

「また――見つけて…ほしい」

「……」

息ができない。

心臓辺りを掴む手が…震えている。



「ごめんな…琴葉―――」


―――――私の世界が止まる…。