とりあえず、雅貴の隣に立ってみたものの、会話が見つからない。 すると、さりげなく手を握ってきたのだった。 「萌、どういう事か、帰ってから説明してくれないか?」 「説明?」 握られた手は、川上くんが握った手と同じ。 やっぱり、安心する雅貴の温もりを、今は頭の中で打ち消した。 「川上との事。あいつに、そんなに期待を持たせたいのか?」 それだけ静かに言った雅貴は、ほとんど強引に私をタクシーに乗り込ませたのだった。