———————… 深く、深く、息を吐く。 目を瞑って、自分の心臓の音を聴く。 彼を思い出した時にする、 ちょっとした儀式みたいなもの。 もう気持ちが溢れ出さないように 記憶の奥底に鍵をかけて静かに沈める。 ゆっくり目を開けて、リビングへ繋がる ドアへと一歩足を踏み出す。 最後にちらり、後ろを振り向いて…。 いない君の面影を残してドアを閉めた。