深層融解self‐tormenting

「やだ、濡れるわよ!!」


泉野先生が大声で叫ぶのをぼんやり聞いていた。


「……先生、今お風呂……ですか?」


泉野先生は躊躇して「……ええ」と短く答えた。


「……その制服、東の生徒なの?」





……あんたに、答えてなんかやんない。




「私と蒼季はね、大学の時に付き合ってたの。一旦別れたけど……。この前S高で再会して……。[焼け木杭に火がついた]って言ったら、分かるかな……?」

「分かりません」



分かるもんか。そんな事。



「やり直そう、って事になったの」

「……そ、ですか……」



嘘だ。


だって先生はあんなに表現してくれたもの。



私の事を『好き』だって、いつも表してくれてるもの。



「……先生に会わせて下さい」

「……やめた方がいいよ。あなたが傷つくだけだから」

「直接会って話したい」

「……なら、どうぞ」


あんたの家じゃないじゃん。

よく『どうぞ』とか言えるよね。



居間に入ると、確かにお風呂上がりの先生がいた。