新人教師の歓迎会が新学期始めに開かれ、当然俺達も出席せざるを得なくなった。

二次会三次会とハシゴする内にいつしか酔い潰れて、そのまま宮藤サンの家に転がり込んだ。



途中で、宮藤サンの昔馴染みだという隣校で東高の教師、歴史科担当の鎌崎さん、同じく東高校の物理担当の鷹嘴(たかのはし)さんらと合流し、宮藤サンの家でへべれけになるまで飲み明かした。



玄関のチャイムの音に起こされて、時計を見ると既に翌日の朝10時。




慌てて辺りを見回すと、酒臭い男達が部屋のそこここで雑魚寝していて見苦しい。


チャイムが鳴るにも関わらず、肝心の宮藤サンは起きる気配すら見せない。


それどころか「どうせアイツの事だから牛乳貸してとか下らない用事だろ。櫻君ちょっと出てくんない?」なんて、いかにも投げやり。

二日酔いで頭痛いのは俺も一緒だっつーの。



ふらつく頭を押さえながら玄関先に出て、目に映ったのは、鮮やかな栗色の髪を腰まで伸ばして両サイドをツインテールにした少女で。



なんだ、コイツの頭?奇抜な色に染めてやがる、こんなに規則が緩い学校もあんのかよ、と感心したのも束の間、次に見たのは瑠璃色の瞳。


コイツ、外国人か?



「お前、誰?」



それがソイツの第一声。


「人に名前を聞く前にまず自分から名乗れよ」

「知らない奴に個人情報を漏らすほど馬鹿じゃない。いいからあの女の敵を出せよ」

「宮藤サンなら二日酔いでぶっ倒れてんだけど。俺は櫻っつー宮藤サンと同じ学校で働いてる数学教師。つか、ホントにお前誰?」


随分ちびっこいが、中学生だろうか?

下から睨み上げる勝ち気な目にゾクゾクする。やべ、ど真ん中かも知れね。