で、日曜日。

晴れた空とまだ暑くもない気温、ふわりと揺れる風が体にちょうどいい。



朝から張り切って、服の下に水着を着込んだ私は、先生が迎えに来るのを待っている。




少し遠い所で、最近耳で覚えた、あの低く響くエンジンの音を聞いた。




「ほんっと、あのエンジン音は近所迷惑なだけじゃね?」なんてシケモクくわえた兄貴が言ってるけど、それ以上の暴走行為をしていた兄貴にそれだけは言われたくない。




ピンポーン、とインターフォンが鳴り終わる前に、私は玄関のドアを既に開けていた。


「っと。早ぇな。おはよ」

「おはよ、ございます……」


下に着てるのが水着だからか、何か気恥ずかしい。


「荷物寄越せ。後ろに乗せるから」


そう言われて、着替えの入ったバッグを渡す。

「重いけど何入れてんだよ」とか、ぶつぶつ言われたけど。



女の子には女の子の事情ってもんがあるんだよーだ。



当然のように、助手席のドアを開けられ、そこに座る。


ダッシュボードの上には、私が置いた熊のぬいぐるみが何体か飾られている。




これはいわゆるマーキングってヤツだ。



この車の助手席は、私の専用だからねっていう。

自己満足以外の何者でも無いけどね。