「……その水着、本当に一回も着てないのか?」

「?うん、着てない」

「……じゃ、誰もまだ見てない訳だな」

「あ?何を?」

「いや、何でもない。そしたら次の日曜日、いつもの時間に迎えに来るから。待ってろよ」

「はーい」



先生に威勢よく返事を返した。

先生は愛しげに笑って頭を撫でる。

それが気持ちよくて、目を閉じてその愛撫を受け入れる。



と、その時ガンッッと、鈍い音がした。

何事!?




カッと目を見開き驚いて上を見上げれば、凶器の植木鉢を手にした兄貴が立っていた。

それもそら恐ろしい笑顔付きで。



「……ふーん。[ファントム]って絶叫系アトラクションが苦手なんだー。初耳ー」

「兄貴!!」


ってか、帰ってくるの、早くない!?なんで今ココに居んの?つーかどこから聞いてた!?

「たまに早く帰ってみれば、イチャイチャしやがって。お前、目障り。帰れ」

兄貴は先生をしっしっと手払いして、隅っこに追いやった。


「こんな事なら、やっぱ認めるんじゃなかったなー、華音と付き合うの。煩い奴等を押さえつけても、本人達に感謝の意志が感じられないしー?」

何を言ってるんだ、この馬鹿兄貴は?

「ま、そういう事だから」

そう言って兄貴は居間から出ていった。

言いたい事だけ言って出てくなんて、何様だ!?