「……で。何で、誰に、喋ったのさ!?つか、他に誰が知ってんの!?」


春臣が帰宅するのを待って、速攻で家に乗り込んだ。

「あぁ、櫻君と華音の事?酒のつまみに安藤と濱口と、鷹嘴。こないだの土曜の夜、一緒に飲んだんだよな。そん時」

「っ言い触らす事ないだろ!!今日それで鷹嘴先生にからかわれた!!」



それを聞いた春臣は、悪びれもせずゲラゲラ笑った。



「むくれんなって!いやさ、安藤とか高校時代から櫻君のこと知ってる奴等が言うんだけどさ」

「……何を……?」




不貞腐れたままで春臣を睨んだ。



「櫻君が一人の女にあそこまでベタぼれするのは見たことないって。愛されてんなー、お前」




………これって、自惚れても良いのかな……?


「大体は女には冷淡だったんだって、昔の櫻君。それが今は……あれもうどう見ても変態じゃん。しかも、お前限定の。『昨日の華音もマジ可愛かった』って何あれ?誰あれ?」


思い出して顔が真っ赤になる。


そうだよ、その変態に惚れた私は何なのさ。

それ以上無駄口が利けないように、春臣の頭を辞書の角で殴ってやった。