鷹嘴先生は職員会議のあと学校を出て、ふらりと近隣する大学へ入って行った。

これはまずい。制服を着ている女子高生が(しかも大学に用事があるようには、とても見えない女子高生が)いかにもストーキングしてますみたいな態度で入っても、大丈夫だろうか?


学食目当てと見えなくもないだろうが、今この時間に入っても、門番に怪しまれるんじゃないの?

門の前で暫く舞とやきもきしていたら、大学前のコンビニで何だか騒ぐ人の声がした。

鷹嘴先生が出てきそうになかったので、私と舞はそっちへ移動した。



騒ぎの中心にいたのは、サラサラの黒髪ロングヘアーを揺らした、色白の綺麗なお姉さん。

その人の回りには数人の、チャラチャラしたヤロー達。

なるほど、ナンパか。

でも明らかにお姉さんは嫌がっている。

これは助けない訳にはいかないだろう。

舞と目を会わせると、ナンパヤロー達の中に突っ込んで、ソイツらをフルボッコにしてやった。

まぁ、一方的な気がしなくもないが、嫌がる女の子を怖い目にあわせたんだから、これぐらい我慢しろっての。


最も、私も舞も元来暴れるのが好きだから、という理由も八割ぐらいはあるかも知れない。


「お姉サン、ケガはない?」


振り返ってお姉さんに聞いたら、震えてはいたものの、気丈に堪えて頷いた。


「助けてくれて、どうもありがとうございます。私は櫻温和(さくら はるか)。この大学に、会社からの出向で来ているの」

「お姉さんが無事ならいいけど。お姉さん美人だから、気を付けなくちゃ駄目だよ!!」

「華音!!鷹嘴先生がでて来たっ!!追っかけよ!!」


私達は慌ただしく、お姉さんに別れを告げた。



ん?



そういえばあのお姉さん、どっかで見たことあるような…。




どこだっけ?



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