深層融解self‐tormenting

「マジかよ……」

あのバトルから一時間ほど経った。



私達は、神楽坂という峠に人知れず移動している。

氷室峠にはあまりにもギャラリーが多くて、囲まれたら動けそうになかったからこっそり移動したのだ。



そして、神楽坂に着いてからは、今は営業していない温泉施設の駐車場に車を停めた先生が、何故かタブレットを取りだし操作し始めた。



何をしてるんだろうと、操作するその手元を覗きこんで見ると。


「……やっぱ、あげられてた……」

「?何を?」

「さっきのバトル。動画サイトにアップされてた。タイトルがふざけてるよな」


先生は黙ってタブレットを私に手渡した。


タイトルは[速報 伝説のバトル!!氷室峠 heaven vs phantom ]と、なっている。


「……これ、さっきのやつ?」

「そう。ギャラリーが撮ったやつな。つーか何だよこの再生回数」


………再生回数。


「ろくせんにひゃく……」

「ありえねぇ」


項垂れる先生の頭をよしよしと撫でた。

お疲れ様。

あんな運転をするんだから、とんでもなく緊張するんだろうな……。


「せんせ……?疲れたんなら、もう今日は走んなくていいよ。帰ろ?」


あれだけ注目されたんだから、精神的にもきっとキツかったに違いないと、先生を気遣っての事だった。


「……だな。今、俺の側にいたら、お前がやべぇ」

ん?私が、ヤバい?何だ、それは。